【優勝】枝尾賢(4148・福岡)9月24日(火)に開幕を迎えた「G1江戸川大賞・開設64周年記念」は、強烈な南風が吹き荒れた前検日こそ水面コンディションが悪化したが、初日以降は概ね好コンディションでレースが実施され、日程通りの29日(日)にファイナルの優勝戦が行われた。
なお、開催5日目(28・土)に実施された3組の準優勝戦だが、予選5走を「4勝&3着1本」の快進撃で断トツのトップ通過を果たした枝尾賢が、準優「12R」を楽に逃げ切って快勝。その枝尾が“王道”を歩んでV戦のポールポジションを獲得した。
また、予選3位の稲田浩二は、準優「10R」のイン戦で石渡鉄兵の「2コース差し」に屈したが、2着で優出。その一方で、準優「11R」の1枠だった福来剛(予選2位)はスタートで立ち遅れて、4着で優出漏れとなった。
そして迎えた最終日は、南寄りのホーム「追い風」がやや強まる時間帯もあったが、V戦は「3m/s」と風速が急に弱まった。対する潮回りも、順目の「上げ潮」が「60cm/s」という良コンディションの下で、最終決戦の火蓋が切られた!
レースの方は、追い風が急激に弱まった影響か、(V戦としては)全艇が遅めのスタートで、元より“S巧者”として名高い三嶌誠司(3号艇)と稲田浩二(4号艇)が後手を踏むという、想定外とも言える「中へこみ」のスリット隊形となった。
そのような中でも、やはり“江戸川の動く大時計”である石渡鉄兵(2号艇)が、ビシッとトップS(0.16)を決めてきた。その石渡に対して、インの枝尾は「コンマ23」の仕掛け。しかし、スリット後に猛烈に伸び返した枝尾は、石渡を「差し」に回した上で、外をブン回した井口佳典(5号艇)も制して先マイに成功!
その枝尾は、旋回後の押し出しも実に強力で、バックストレッチでは、差し込んだ石渡を楽に振り切って2Mも先取り。ここで石渡以下を引き離し、枝尾の“V”が早くも確定的となった。
後続争いは、石渡が2Mで内々を切り返した三嶌を冷静に捌くと、その後もミスなく立ち回って2着に入線。そして、井口も同2Mで三嶌を差すと、2周ホームストレッチで三嶌を抑え込んで3着に入った。
さて、堂々たるレースぶりで「シリーズリーダー」を務め上げ、“王道”を歩み続けた枝尾は、通算「4回目」となる特別戦(G2以上)の優出にして、「89期」では初の“G1タイトル”ホルダーに輝いた。
5日目の準優勝戦の後には「精神的に疲れました」と疲労感を漂わせていたが、V戦でも「思ったより自分の気持ちは慌てていた…」と、さすがにG1V戦の白カポックで平常心は保てなかった様子だ。
それでも“節イチ”に仕上がっていた相棒(58号機)の後押しは絶大で、枝尾自身も「ペラは前検に叩いて、その後は何も触ってないけど、足が物凄く良かった。エンジンが勝手に運んでくれましたね!」とモーターに大感謝。旋回直後に即加速して、さらにそこから強力に伸びると言うパワーは本当に強烈だった!
その枝尾は「左手の筋を全部切ってデビューが3か月遅れましたし、10年くらい前には、尼崎で消波装置に激突して半年は休んだ。怪我が多かったです…」と度重なる苦境を乗り越えての快挙達成。「家族と、お世話になってる藤丸光一さんに感謝しかない。すぐに電話します!」とも語り、苦しい時代を支えてくれた家族と師匠に対して、幾度となく感謝の念を示していた。
なお、今回の勝利で来春の平和島「SGボートレースクラシック」の出場権を獲得した枝尾。「選手になったからには出たいと思っていた。嬉しい気持ちと挑戦したい気持ちですね」と、自身初の大舞台(SG戦)へ胸を躍らせていた。それとともに「一走一走のレースを大事に走るという思いを崩さずにいきたいです」と今後も真摯な姿勢でレースに挑み、一歩一歩レベルアップを図る構えだ。 |