【優勝】荒井翔伍(4608・東京)6日間シリーズ(2準優制)の「第20回日本モーターボート選手会会長賞」は、節の終盤に水面が波立つシーンも多かったが、日程通りの3月12日(土)に最終日の優勝戦が行われた。
なお、今節は初日の「江戸川選抜戦」に出場した主力陣に途中帰郷者が相次ぎ、選抜組で予選突破を果たしたのは、白石健と田中信一郎の2人のみという「波乱模様」のシリーズとなった。
さらに、その白石・田中信が準優戦で敗退したため、V戦に進出したのは全て予選スタート組の面々で、6強メンバーは(枠番順に)荒井翔伍・沢田昭宏・尾上雅也・幸田智裕・マイケル田代・本橋克洋の並びとなり、この中では、尾上&マイケルの両者が「初V」を目指すファイナルとなった。
迎えた最終日は、6R頃からホーム「追い風」が強まり、逆目の「下げ潮」とぶつかって水面が荒れ始めたため、7Rに安定板が装着された他、8R以降は2周戦でレースが行われた。
そして優勝戦は、全艇が「0.15前後」のスタートタイミングで隊形は「横並び」に近かったが、スリット線通過後は「生涯でも1・2の足!」と言うほどの「直線パワー」を誇った沢田が強烈に伸びて、渾身の「ジカ捲り」を敢行。
しかし、インで捲られた荒井は冷静で、(沢田の捲りが若干膨れたこともあるが)まるで自身が「2コース戦」とも思える絶妙な「小回り旋回」で堪えると、続く2Mを落ち着いて先取り。その2Mを外マイした沢田がホーム直線で追い付いてきたが、荒井が2周1Mもキッチリ回ったところで大勢が決した。
後続は、沢田がそのまま2着に入線。そして、アウトから差し込んだマイケルと本橋の2者による「3着争い」は接戦となったが、本橋が「しぶとさ」を生かして3着に入った。
さて、準優戦終了後のインタビューでは「頑張って10全速のSを行って、それでダメなら仕方がない」と、良い意味で開き直っていた荒井。実際のところ、V戦のSTは6番手の「0.18」ではあったものの、ジカ捲りを浴びながらインで耐え切れたのは、豊富な「水面経験」に加えて「平常心」でレースに臨めたからこそだろう。
さらに、今シリーズは「調整面」でも正解を出していた。荒井曰く「全体に中の上」と言う評価ではあったが、意のままにターンができる「操縦性」を仕上げ切れていたことが大きかった。
その荒井は一昨年12月の平和島以来、通算では自身「8回目」の優勝。そして、当地では2018年6月の「ルーキーシリーズ」以来となる久々の美酒(※当地通算3回目)となった。
なお、昨年9月のG3戦(アサヒビールカップ)の初戦で「F」に散って以降、江戸川では消極的なレースが続いて精彩を欠いていた。しかし「今は(事故率の)足かせがない分、いつもに比べると気持ちの面で余裕がありますね」と言う通り、今シリーズは予選から伸び伸びと思い切りのいいレースができていた。
これで前走地の福岡から「連続優出」と調子を上げてきており、勝率も「6.09」まで上昇。近年はA2級に甘んじているが、今一度気持ちを引き締めて、久々の「A1級昇格」を狙いたい! |