【優勝】山口隆史(4368・福岡)4日間の短期決戦で争われた「誰が勝ってもデビュー初優勝!月兎(げっと)ソースカップ」は、11/12(土)に優出を果たした6選手全員が“初V”を懸けてラストバトルを行った。 その最終日は絶好の晴天に恵まれ、弱い「向かい風」の一日。逆目の「上げ潮」基調ではあったが水面は穏やかで、僅かに順目の「下げ潮」が入ってきた優勝戦の時間帯は、完全な“ベタ水面”となった。しかし、レースの方は前節のV戦に続き、スタート事故が発生する波乱の結末が待っていた…。 S展示の時点では、ほぼ止まっていた潮の流れが、本番レースでは僅かに「下げ潮」が入り出す、言わば“潮変わり”の時間帯。スロー勢にとっては「展示よりも、Sが届かなくなる」という意識になりやすい条件で、相原利章(2枠)の仕掛けがかなり早く、それにインの宮崎奨も合わせる形になった。 1Mは一か八かのツケマイ勝負に出た相原を受け止めた宮崎が、逃げ圧勝のスタイルだったが、非情にもその時点で両者に「F」コール。1周バックで早々と人気の2人が戦線離脱から離脱した…。 一方、「伸び型」の仕上がりで“攻める気満々”だった笠置博之(3枠)は、相原の「握りマイ」を読み切れず、一緒に外を握ってしまい、代わって差す形になったのは、カドの山口隆史(4枠)だった。 「出足」や「回り足」が万全の状態に仕上がっていた山口は、バック線でスルスルと艇を伸ばすと、2M先取りに成功。あとは残る「4回」のターンを慌てず丁寧に回し切って、念願の“初V”を掴み取った! 惜しかったのは笠置で、1周1Mは差しにチェンジしていればVチャンスは十分あった。静水面となった2日目以降、誰よりもS勘を掴んでいた笠置は、F艇が出た優勝戦でも「コンマ06」の快Sを決めており、攻めた結果の“準V”。必ず近いうちにチャンスは再び訪れるはずだ。 また、3着争いは、捲り差しから2Mで岡谷健吾(5枠)を捌いた田中堅(6枠)が制した。なお、今回で優出「56回目」だった岡谷の初優勝は、またもお預けとなったが、予選道中において明らかにパワー劣勢だった状況でも、A1戦士の意地でファイナル進出を果たしたのは立派だった。 さて、自身通算「12回目」の優出で、嬉しい嬉しい初優勝を飾った山口だが、1つの勝因は厳しい波水面となった初日の外枠2走(6号艇&5号艇)で2連対(1着・2着)という好発進を決めたことだろう。 そして、「今節はみんな鼻息が荒い(笑)」と、全選手が初Vへ向け熱い思いを馳せた今シリーズにおいて、「(優勝戦に)乗れてホッとした。リラックスして行ける」と最後まで“自然体”で臨めたことで、最高の結果を掴み取った。 ちなみに、“双子レーサー”として知られる山口だが、登録番号が1つ違う兄の修路は、すでに2度のV歴がある。今回の優勝で兄に一歩追い付いた形だが、来期(2017年1月1日~)はB1級からの出直しとなる。A級を張って行くスピードは十分にあるが、飛躍へのカギは本人の「欲」の部分か。温厚な“ナイスガイ“だが、水の上でもう少し“鬼”になれるようだと、A2級の復帰はおろか、A1級も十分に狙っていけるはず。今後も山口隆史の走りには注目しておきたい! |