【優勝】平尾 崇典(3822・岡山)「この大会は通常の勝ち上がり制のレースよりも何倍もの『運』を要し、それが勝負の行方を大きく左右する」…ファイナルで平尾がクルッと逃げ切る姿は、そんな定説を100%体現していたように思う。初日のトーナメントを必要条件の3着で凌ぎ勝ち上がった平尾は、その後のセミファイナルの枠順を決める抽選で2枠に決定。そのセミファイナルでは、逃げたイン選手に差し続いて2着処に位置していたが、イン選手にまさかのフライングコール。一瞬で先頭へと繰り上がって、そのまま1着でゴール。それが12Rだったため、その流れのままに抽選会場に姿を現すことになった。中澤和志、田村隆信、石渡鉄兵に平尾を加えた4名でファイナルの1~4枠を決める抽選会が催され、平尾の枠発表順はトップ。初っ端になんと1枠獲得と発表された。平尾自身は一切顔色を変えなかったけれど、恵まれ勝利→1枠ゲットという流れを見れば、4人の中で最も『運』が来ていることは明らかだった。更に言うなら、普段は前付け必至の赤岩が復活戦勝利で蘇って6枠に入ったものの、江戸川とだけあってスンナリの6コースに収まったこと、なども勝利への後押しとなっただろうか。とにもかくにも、この大会の利点を存分に引き寄せ、最終的に優勝という形にしたわけである。 ファイナル自体は、ハッキリ言って完勝という表現がしづらい。インからコンマ16、スリットこそ6艇は同体だったが、そこから1マークまでは隣の中澤に覗かれる感。初日からスタートの質に不安な気配があった平尾だが、ファイナルにもその部分が表れたか。1マークまでの直線足なら見た目6番手スタートと言った形態だったが、中澤に艇を寄せつつ何とか先マイを敢行。艇団が外へと寄った分、他5艇は半ば押し込まれた状態で初動を切る形となり、1マークは中澤~上野までの攻めが半端な格好に。平尾自身も割合いコーナーを外していたが、握って出た中澤に応戦しつつ逃げ切って優勝を決定付けた。準優勝はその中澤。3着は1マークの鋭いブイ差しから赤岩が抜けていたが、コーナー毎に地元の雄・石渡が追い詰め、意地の逆転で掲示板入り。3連休に熱戦の続いた「ファン感謝3Daysボートレースバトルトーナメント」は、終わってみれば1-2-3(15.7倍・2番人気)の順当決着での幕引きとなった。平尾はこれが昨年11月の宮島一般戦以来の優勝。通算では87度目、江戸川は6度目の優勝。来年(つまり約3ヶ月後)1月に大村で開催される「プレミアムG1・ボートレースバトルチャンピオントーナメント」の優先出場権も手中に収めた。気付けば50代に突入した平尾。今年はこれが初の優勝だが、まだまだ第一線で張り合う力量は十分。この後は記念戦線への斡旋も多数入っており、また来月半ばには再び当地一般戦に登場予定。平尾の華麗かつマスターズ世代らしい巧腕発揮を楽しみにしたい。 |