【優勝】中村裕将(3075・埼玉)通算4回目となる“準優同枠戦”も実施された「第39回日刊スポーツ杯」。最終日の開催は、前夜から降り始めた雪が残る中、序盤には突風交じりの「向かい風」が強く吹き荒れた。
幸い、潮回りは風向きと同じ「下げ潮」基調だったため、大荒れの水面にはならなかったが、万全を期して終日安定板を装着してのレースに。ただ、その強風は昼過ぎにピークを迎え、後半の7R以降は水面状況がかなり改善。最終の優勝戦は、良好な水面コンディションで行われた。
予選トップ通過を果たし、5日目の同枠戦&準優を磐石のイン逃げで連勝した中村裕将が優勝戦も1号艇。そして、中村に続く2位通過の野添貴裕も、5日目前半の同枠戦こそ井川大作の全速捲りを浴び2着と敗れたが、準優を「コンマ01」の“激発逃げ”で圧勝して、V戦2号艇を獲得。予選を牽引してきたこの両者が内枠をガッチリと固めた。
中枠には、「江戸川でスタートが難しいと感じたことはない!」と、Sに自信を持つ枝尾賢が3号艇、「江戸川大好き」と公言する波巧者の是澤孝宏が4号艇に収まった。
また、前操者(三角哲男)の快速を継承した井川大作(5号艇)と、同枠戦&準優で実戦足の良さを実証した宮崎奨(6号艇)も、内枠両者にも何ら見劣らないトップクラスの舟足。外枠とは言えども、展開一つで浮上の余地がありそうな好気配だった。
レースの方は、宮崎以外の5人が全て「コンマ0台」の踏み込みと、究極のスリット合戦で開幕。多少伸び加減だったのは野添だが、インの中村にとってはむしろ好都合。野添がしっかりと“壁役”を果たし、枝尾を牽制して回ってくれたことで、楽々と先マイに成功。1周目バックの時点で早くもVがほぼ確定し、道中も後続を引き離す圧勝劇だった。
野添に牽制された枝尾が流れ、しかも是澤と井川が揃って外を握ってしまったことで、大外の宮崎に絶好の差し場が開いた。自慢のレース足を生かしバック最内を差し上がってきたが、続く2Mで思わぬ落とし穴が…。ターンの出口で舟が暴れて操舵不能となり、宮崎は最後方まで後退してしまった。
後続争いは、2Mを巧く捌いた是澤で2着確定かと思われたが、最後まで諦めずに追撃を続けたのが井川。3周1Mを回った時点では、2番手の是澤と3~4艇身の差があったが、ラストの3周2Mで是澤が大きくターンマークを外したところを、井川がズバっと差し一閃。大逆転で2着をもぎ取った。
さて、勝った中村は、2013年10月の福岡(一般戦)以来、2年3ヶ月ぶりの美酒。また、前回の当地優勝は1998年7月(G1開設43周年記念)まで遡り、今回は実に17年半ぶりの江戸川Vとなった。その他、1993年には当地で関東チャンプ(地区選V)獲得の実績があるなど、通算優出18回のドル箱水面である江戸川で、埼玉の古豪が再び輝きを放った。
ちなみに、節間「9戦7勝」&3日目後半からは破竹の“5連勝”でシリーズを締め括った中村は、この好走が利いて、1月末に選考期間が締め切られる「第17回マスターズチャンピオン(名人戦)」への出場へ大きく前進した(※52位がボーダーで、中村は48位まで浮上)。次節は1月29日から始まる尼崎に出走するが、この勢いのままガッチリと出場権を獲得することだろう。 |