【優勝】井口佳典(4024・三重)「第23回アサヒビールカップ」は強風高波浪のため、初日から2日間の順延。さらには、5日目に行われるはずだった準優勝戦も「台風11号」の影響で中止となり、最終的には得点率制による5日間開催として実施された。しかし、優勝賞金「200万円」を懸けた最後の大一番は、そんな出来事がまるで嘘だったかのように良好な水面コンディションで争われた。
戦前から押しも押されぬ優勝候補ナンバーワンの井口佳典が、磐石の走りで予選をトップ通過し優勝戦の1枠をゲット。ラストバトルも難なく逃げ切って圧倒的な人気に応え、江戸川で2度目、通算52回目の優勝を飾った。
スリット隊形は明らかな“中へコみ”で、5コースから荒井翔伍が捲って行ったが、井口までは届かなかった。激しかったのは2・3着争い。荒井の捲りに乗って差した大外の齋藤勇がバックで抜け出したが、荒井が2Mで差し返して、道中で大接戦の末に2着を死守した。
そして、スタート遅れで1M後手を踏んでいた2号艇の柏野幸二が、3周のバックから最後の2Mで齋藤を捕えるという“激アツ”の大逆転劇を演じて3着に食い込んだ。柏野は井口に次ぐ人気を背負っていただけに、立ち遅れは残念だったが、何とか舟券に絡み最低限の仕事はした。
その他、河村了と鈴木茂正のセンター両者は、仕掛けを失敗したのが致命的だった。1M手前で荒井に締められて万事休す。結局、見せ場も作れずに終わってしまった…。
優勝した井口は、レース前のインタビューで「前回の江戸川(昨年7月の58周年記念)は、ケガで途中帰郷してしまったから、その借りを返したい!」と言っていたが、まさに有言実行の完勝劇を披露。乗りっぷりの良さも選手間で評判だったが、順延が続いた日程でも最後まで集中力を切らさず戦い、超一流レーサーのプライドも見せつけた。
今年は3月に常滑の周年を制した井口だが、他には一般戦での優勝が1回(2月の津)あるだけ。SGの舞台では、まだ一度もV戦に駒を進められておらず、活躍の便りは聞かれていない。それでも、暮れのグランプリ出場へ向けて、この優勝は弾みになるはず。もちろん、今回手にした200万円も、今後の獲得賞金争いにとって貴重な一部となるだろう。
一方、2着に食い込んだ地元の荒井も大健闘だった。優勝戦の当日になっても慌しく整備しなければならないほど、エンジン的には劣勢だった今節。足比べでは6強の中で間違いなく“ワーストワン”で、展示の気配も重たかった。(機力的なマイナス面を補えるように)荒水面を望んでいたが、それも叶わなかった。それらのハンデを覆しての連対だけに立派と言える。
江戸川のスター候補である荒井。念願の当地初優勝はお預けとなったが、この後すぐの「第36回大江戸賞」にも連続参戦の予定。今回の“価値ある2着”は今後の戦力アップになるだろうし、次節も引き続き注目したい! |