【優勝】下出卓矢(4415・福井)2021年度の当地特別レース・第2弾「G2江戸川634杯・モーターボート大賞」は、4日間の予選と5日目の準優勝戦が日程通りに終了。12月13日(月)にファイナルの優勝戦が行われた。
なお、5日目に行われた3つの準優勝戦は、いずれも1号艇の「逃げ」で決着。その結果、堂々の予選トップ通過を果たした下出卓矢がV戦の絶好枠を獲得した。(※他の準優戦の勝者では、若林将が2号艇、土屋智則が3号艇。)
さらに「準優2着」で優出切符を掴んだのは、山田哲也・井口佳典・鶴本崇文の3者で、結果的にG2以上の特別タイトルを持つA1レーサー6名がファイナルに勝ち残った。
ちなみに、最終日の開催は冬型の気圧配置が強まり、朝から強い北風が吹き抜けた。そのため、1Rから安定板装着の2周戦となったが、順目の「下げ潮」に変化して水面コンディションが改善した9R以降は、通常の3周戦にてレースが行われた。
そして迎えた優勝戦は、大外の鶴本が後手を踏んだ以外、他の5名はほぼ横一線でスリットラインを通過したが、スリット後は4カドから「フルダッシュ」で飛び出した山田哲が伸び加減。その山田哲は、まずジカ内の土屋を飲み込むと、1Mは「捲り差し」を狙ったが、引き波をなぞってボートが外に膨れた…。
さらに、山田哲が視界に入ったインの下出も握り過ぎて先マイのターンが流れ、一番差しの若林と、捲り差しで艇団を割った井口(5枠)がバック線の内々を浮上。続く2Mを先取りしたのは若林だったが、下出はその2Mで井口を捲りながら、若林を差すという「高等テクニック」で先頭に立った!
そして、次の2周1Mをスムーズに回し切った下出の「V」がほぼ確定したが、同1Mで若林がキャビテーションを起こして失速。3番手を走っていた山田哲と激突して、若林は無念の転覆…。何とか態勢を立て直した山田哲が2着に繰り上がり、2周2Mで土屋を捌いた井口が3着に入線した。
さて、V賞金「450万円」に加えて、来春のSG「大村ボートレースクラシック」の出場権利を手した下出は「伸び型のスペシャリスト」で、今節も初戦に「大外一気」を炸裂させて快勝。その勝利で勢いに乗ると、予選で「4勝」を挙げて堂々のトップ通過を決めた。
ちなみに、下出の相棒(19号機)は、10月に使用した中田達也の「大整備」で「別物」に生まれ変わった上昇機。追求する「伸び」に加えて「出足」も良く、3日目の時点で完璧な状態に仕上がっていた。さらに「うねり」を苦手にしている下出にとって、荒水面が予測された準優戦を「静水面」で戦えたことも大きかったし、V戦も風が弱まって最後まで「天運」が味方した印象だ。
その下出は「G1初V」を飾った2019年10月の「平和島65周年記念」以来、自身2度目の特別戦制覇。しかし、「2M逆転」での辛勝だったため、レース後は「スムーズに逃げたかったですね」と苦笑い。
それもそのはず、今回と同じポールポジション(1号艇)からの戦いだった平和島の周年でも、2号艇の平本真之にインを奪取される厳しい展開。結果的に渾身の「2コース差し」を捻じ込んで初の「G1タイトル」を獲得したが、「いつかはちゃんと勝ちたい」と胸のつかえがある様子。次に1枠での「Vチャンス」が到来した時は「圧逃劇」を期待したいところだ。
最後に、下出は「自分はお客さんに伸び型で勝つイメージを持ってもらえている。今年はピークの出方ではなかったけど、色々とペラを試してプラスになった。調整の精度ももっと高めたいですね」と、今後の課題と抱負を語った。それとともに「クラシックなんで考えていなかった。来期はA2に落ちるけど頑張ります!」と来春の大一番を心待ちにしている。舞台の大村は「イン最強」の水面だが、研究を積み重ねている「伸び仕様」を貫いて旋風を巻き起こしたい! |