【優勝】荒井翔伍(4608・東京)2016年の開幕シリーズ「第34回新春金盃」。前検日に伏兵級が軒並み好モーターを引き当て、実際のレースでもピットで評判の足となっていたのは、それら好モーターを引いた選手たち。それでも地元を代表する実力者が多く揃った今シリーズを牽引したのは、やはり格上勢だった。 中でも、中野次郎と若林将が予選をオール2連対でまとめ、準優もインから押し切った若林が昨年12月の前回戦に続く優勝戦1号艇をゲット。中野はセミファイナルで荒井翔伍に捲られ、優勝戦は3号艇回り。その他、三角哲男も準優で何とか3着に入り優出は果たした。一方、石渡鉄兵は準優で4着に敗れ、まさかの優出漏れという結果に…。 さて、大激戦だった準優を勝ち上がった6人によるファイナルは、インから若林が「コンマ06」のトップスタートを決めたが、2~4コースの“中ヘコミ”を突いて絞ってきた5コースの三角が視界に入ったか、1Mの手前でボートが浮いてしまい…。先マイこそ果たした若林だが、懐は大きく空いてしまい、2コースから差した荒井がバック先頭へ。 インから立て直した若林は最後まで猛追したが僅かに及ばず、荒井が先頭を死守してゴール。微差の2着に若林。また、大池佑来との接戦を2周1Mで制した中野が3着に入線し、スロー勢による上位独占となった。 勝った荒井は、昨年2月の芦屋以来、デビュー2度目となる優勝。地元の江戸川では(4度目の優出での)嬉しい初Vとなった。舟足自体は決して抜群という訳ではなかったが、「自分が一番ビックリした」という準優を、トップスタート(コンマ05)からの“強捲り”で中野を撃破したことで勢いに乗り、一気に頂点まで上り詰めた形だ。 現在「関東地区スター候補」に選ばれているため、江戸川の参戦回数は減っているが、元々は当地の「地元地区スター候補」として馴染みの深かった選手で、ここ江戸川はまさに育ちの水面。明るい性格と人懐っこいキャラクターで誰からも愛されるが、水面に出れば一変。果敢な旋回と荒水面でも一切怯まぬガッツの持ち主で、その将来性は高く評価されていた。 「得意の3着で…」と本人が自虐的に話していたように、これまでは堅実に舟券圏内に絡む一方で、大事な勝負処では勝ち切れない面も多かった荒井。しかし、今回これだけのメンバーを相手に優勝を飾れたことは、大きな自信になるはず。今期はA1級にも復帰し、次節以降はグレードレースの斡旋も数多く入っているが、更なる強豪を相手にどのような走りを見せるか大いに注目したい。 一方、前回V戦の雪辱ならず2着に敗れた若林だが、外から伸びてきた捲りに抵抗して差しを許す…という形は、3着に終わった前回戦と酷似しており、少々物足りない結果と言える。 ただ、スリット隊形などの面で、今回もツキに恵まれなかった印象もあるのは確か。予選道中での走りは、師匠である石渡以上に安定している当地近況だけに、リベンジの舞台はすぐに訪れるはずで、次回参戦時は“3度目の正直”へ向けた熱い走りに期待したいところだ。 |