【優勝】前沢丈史(4366・東京)「東京」「群馬」「三重」の3支部によって争われた「3支部ガチ対決シリーズin江戸川・第19回日本財団会長杯」は、水面コンディションが不安定な一節ではあったものの、日程通りの3月15日(金)に最終日の優勝戦が行われた。
なお、5日目に行われた2つの準優勝戦は、ともに1号艇が敗れて3連単万舟の波乱に…。予選2位の齊藤仁こそ準優(11R)2着でベスト6入りを果たしたが、予選1位の土屋智則は、準優(12R)の1周1Mでまさかの転覆(※選手責任+不良航法)を喫して、賞典除外の憂き目に遭った。
その結果、準優(12R)を勝った予選4位の前沢丈史がポールポジションを獲得した他、桑原将光(2枠)・齊藤(3枠)の東京勢がスロー枠を占拠。また、群馬支部からは藤生雄人(4枠)と橋本久和(5枠)が優出。そして、三重支部からは孤軍奮闘した中嶋健一郎(6枠)が唯一決勝に勝ち残った。
その最終日の開催は、南西風(追い風)に対して全レースが逆目の「下げ潮」という厳しい条件となった。まずは、風が強まった4Rに安定板が装着されると、波が高まった10R以降は2周戦に短縮してレースが行われ、V戦も波高「20cm/s」という荒水面での戦いとなった。
そして迎えたレースだが、“激熱”のトップS(0.02)をぶち込んできた大外の中嶋を筆頭に、中外枠勢の踏み込みが鋭かった。その中で先陣を切って捲りに出たのは、センターから好ショット(0.08)を決めた齊藤だったが、さらに外をブン回った橋本とともに、強い追い風の影響でターンが流れ気味になった。
バックストレッチでは、当地特有の「うねり」がかなり大きく、内で堪え切った前沢&桑原と、中外枠の4者による壮絶な「かぶり合戦」となったが、豪快に伏せ込んだ前沢・桑原の順番で2Mを回ると、中嶋を捌いた齊藤が続いた。
そして、勝負どころの2周ホームでは、機力で勝った前沢が、桑原を力強く振り切った。その前沢は2周1Mを先取りすると、2番手の桑原が内々を突いた橋本を回す形になったことで、ようやく先行態勢を築いた。最終2Mでボートが少し煽られた前沢だったが、そのまま先頭でゴールし、桑原が2着。橋本は3着に入った。
さて、“波乗り勝負”を制して念願の「江戸川初制覇」を達成した前沢は、2月の丸亀に続く、今年2回目のV(※通算14回目)。ちなみに、関東地区では桐生で“4V”を飾っているが、地元の「東京3場」では初めての優勝。普段は寡黙な前沢が、レース後の水上セレモニーではスタンドのファンに対して喜びを爆発させていた。
その前沢だが、江戸川は“特別戦初優出”を達成した昨年2月のG1戦(関東地区選手権)以来約1年ぶりの参戦だった。以前から出場機会があまり多くない当地だが、本人が「正直、波は得意なんですよ」と話していたように、予選の段階から水面が荒れた時も腰の据わった力強い乗艇姿勢で乗りこなせていた。
なお、前日のインタビューでは「自信を持って“中堅上位”と言えます」と基本的に辛口タイプの前沢だが、客観的には“出足系”を中心に「上位クラス」と断言できる舟足で、1月末の「63周年記念」で若林将に“G1初タイトル”をプレゼントした「17号機」のパワーを余すことなく引き出せていた印象だ。
また、前沢はA1級に定着して早6年。一昨年(2017年)には年間“6V”を挙げて、昨年3月の「ボートレースクラシック(浜名湖)」でSG戦初出場も果たしている。“記念のカベ”を打ち破るには至っていない現状だが、「S力」+「旋回力」のレベルは高く、出だし上々の2019年は「V量産」を目指す一方で、特別戦線での奮闘にも期待したいところだ! |