【優勝】安河内将(4734・佐賀)新型コロナウィルスの感染拡大防止のため、無観客レースとして実施された5日間シリーズの「第18回日本モーターボート選手会会長賞」は、日程通りの3月3日(火)にファイナルの優勝戦が行われた。
なお、当節は、A1級の主力が集結した初日の「江戸川選抜戦」において、飯山泰・宮地元輝・北野輝季・若林将の4者がフライングに散る波乱の幕開けに…。しかも、飯山は「+0.05以上のF」のため、即日帰郷の措置が取られた。その後も、最終日に至るまで連日「F」が発生したように、多くの選手がスタートに難儀する5日間だった。
一方、初日の「集団F」を免れた安河内将と稲田浩二はベスト6入り。特に、初日を“連勝”で滑り出した安河内は、2日目以降も勢いが衰えることなく、予選6走を「5勝&2着1本」の快走で断トツのトップクリア。堂々のシリーズリーダーを務め上げて、V戦の1号艇を手に入れた。
その他、地元水面でハッスルした尾形栄治、予選の6走で「5連対」と堅実にまとめた宮崎奨も優出。また、当地好相性の崎利仁に加えて、前記した稲田とともに得点率「7.17」で並んだ大野芳顕がファイナルへ進出した。
迎えた最終日は、「向かい風」+「下げ潮」だった中盤戦までは好コンディションとなったが、7Rを境として「追い風」に変化すると、9R辺りから風速が強まった。そのため、波が高くなった終盤の11Rと12R(優勝戦)は安定板を装着した上で、周回も2周に短縮された。
そして、波高が「15cm/s」という荒れ気味の水面でV戦が開始されたが、外枠の大野(5号艇)と稲田(6号艇)がスタートで立ち遅れたのに対して、他の4者はいずれも「コンマ20近辺」の踏み込み。中でも、トップS(0.18)を決めてきたのはインの安河内。当然の如く、その安河内が1Mを先に回ったが、握り過ぎてターンがかなり膨れた…。
その安河内に対して、絶妙な「2コース差し」を捻じ込んで来たのは尾形で、バック線の半ばで安河内とラップ状態に。しかし、安河内は、続く2Mで行き過ぎる形となった尾形を「鋭角差し」で捉えて逆転。尾形も粘り強く安河内に追いすがったが、残るターンを冷静に回し切った安河内が先頭でゴール板を駆け抜けた!
後続は、尾形がそのまま2着に入線。3着には、1周2Mで崎(4号艇)を捌いた宮崎(3号艇)入り、最終的にはスロー枠の3者が上位を独占して、本命サイド(1番人気)の決着となった。
さて、圧倒的な1番人気に応えて“江戸川初制覇”を達成した安河内は、昨年6月の津以来、通算では「4回目」の優勝。前日の優勝戦インタビューでは「不安材料はない!」と強気に言い切っていたが、結果は“圧勝”ではなく“辛勝”。強めの追い風が吹く波水面で、何とか勝利を掴み取った。
なお、2016年1月に故郷の佐賀支部へ転籍した安河内は、2012年11月の多摩川でデビューした「元東京支部」の選手。「東京時代は事故ばかりして、本当に迷惑をかけた…」と若気の至りを反省していたが、“初V”を飾ったのも2016年9月の平和島で、東京との縁は深い。ここ江戸川でも「地元と思って走らせてもらっています」と言うように“アウェイ感”は微塵も感じられない。
その安河内は、東京時代の下積みを経て、故郷の佐賀に帰還すると素質が開花。師匠の峰竜太と同様、妥協することなく調整に励み、機出しのレベルも年々上昇。さらに“5期連続”でA1級をキープしており、昨年6月の「G2江戸川634杯」を含めて、去年はG2以上の特別戦で「3優出」をマークした。最近、記念の斡旋も増加しているだけに、2020年は結果が要求される“勝負の年”になってきそうだ! |