【優勝】川上剛(4189・福岡)6日間の2準優制で争われた「第15回日本モーターボート選手会会長賞」は、10月17日(月)に優勝戦が行われた。秋本番を迎え、航行船通過直後のレースを除けば、節間を通して水面コンディションは良好で、最終決戦の優勝戦も“絶好”と言える水面でその時を迎えた。
レースの方は、5コースから「コンマ12」のトップSを決めた田上晋六が果敢に握って行ったが、他の5艇も「10台」のSを決めており、攻め切るには至らず…。内側の艇では、当然の1番人気に推された1枠の川上剛に対し、乙津康志(2枠)が、スリット後にジワリと覗いたが、川上にとっては逆に“絶好のカベ役”となった。乙津の差し場をカットした絶妙な舟回しで1M先取りに成功した川上が、そのまま逃げ切ってVゴールを駆け抜けた!
後続争いは、川上に差し場を塞がれた乙津が後手を踏んだ一方で、乙津の内を角度良く差し込んだ幸田智裕(3枠)と、ツケ回った田上の2者が1周バックは並走の形になったが、幸田が冷静に捌いて2着を確保。
見応えがあったのは3着争いで、地元の両ベテラン・乙津VS田上が、各コーナーで“抜きつ抜かれつ”の大接戦を演じた。ようやく態勢が決したのは最終の2Mで、田上を行かせて差した乙津が、手に汗握る競り合いを制して、3着に入線した。
さて、優勝した川上だが、前日のインタビューでは「インから自信を持って回れると思う!」と話していたが、まさに“有言実行”の逃げ完勝劇で締め括った。しかし、川上の相棒(35号機)は、これまで乗った選手の殆どがワースト級の動きで、大掛かりな中間整備が入った後も、伸び系統が致命的に甘かった。その大きなハンデを覆し、頂点まで上り詰めた“調整手腕”は見事としか言い様がない。
当地参戦機会はそう多い方ではない川上だが、これで江戸川は「3回目」の優勝。的確なイン戦に加えて、「捲り」「差し」をバランス良く使い分ける器用さを兼ね備えている。また、道中競り合いでの“粘り強さ”が真骨頂で、今節も足が若干弱い状態だった前半戦においても、粘っこいレースを見せていた。
準優1枠の両者が敗退し、言わば“漁夫の利”で手に入れたV戦1号艇ではあったが、それも1走1走を無駄にせず粘り抜いたことが、有終の美に繋がったと言っていいだろう。
なお、21日(金)に初日を迎える次節(第16回日本写真判定杯)には、川上の愛弟子である仲谷颯仁(ハヤト)が当地に初参戦する予定。「あいつが35号機を引いてたら、ダメだったでしょうね(笑)。でも、次節は仲谷を宜しくお願いします!」と、最後に可愛い弟子をアピールしていた川上。その仲谷は“初のA2級”を懸けた熱い勝負駆けとなるだけに、初日から注目したいところだ。 |