【優勝】鋤柄貴俊(3934・愛知)6日間シリーズの「G3第28回アサヒビールカップ」は、南寄りの「追い風」が強まって“波乗り勝負”となった日もあったが、日程通りの31日(土)にV賞金「200万円」を懸けた優勝戦が行われた。
なお、今シリーズは、初日の「江戸川選抜戦」に出場した主力6選手が、いずれも中堅以下のモーターを引いたことで軒並み苦戦を強いられたが、その中でも“波の鬼”として鳴らす白石健が予選をトップ通過。そして、5月の当地G2戦(江戸川634杯)を制した池永太が3位通過と奮闘。しかし、白石は準優戦「2着」で、V戦は3枠回りとなった。
対して、V戦のポールポジションを掴んだのは、2位で予選をクリアした伏兵の鋤柄貴俊。その他、“差し巧者”の渡邉和将と、機力は“超抜級”だった中田友也・加藤政彦の3者もベスト6メンバーに名を連ねた。
そして、「追い風5m/s」に対して、順目の「上げ潮60cm/s」というまずまずの水面コンディションでレース開始となったが、スロー枠の3者とカド発進の池永(4枠)が「ゼロ台」でスリット線に突入。特に、インの鋤柄は「0.04」の“熱いトップS”を張り込んできた。
注目の1周1Mは、インから先マイに出た鋤柄に対して、3コースの白石が猛然と“全速捲り”で襲い掛かったが、この両者の“機力差”は歴然としていた。白石の攻めを制して押し切り態勢を築いた鋤柄は、バック線の半ばで白石を突き放すと、続く2Mを悠々と先取りして“V”を確定させた!
一方の白石は、カドから差し込んだ池永を2Mで冷静に捌いて、そのまま2着に入線。池永は、次の2周1Mで先行する白石の引き波に乗ってモタつき気味となり、池永の内々をすくった中田(5枠)が逆転で3着に入った。
さて、4日目から“逃げ3連発”で栄冠を勝ち獲った鋤柄は、デビュー初Vを達成した2002年9月の児島以来、実に「17年ぶり」となる2回目の美酒。過去4回のV戦1号艇では「転覆・6着・3着・F」と苦汁を舐め続けてきたが、ようやく5度目の“白カポック”で堂々の逃げ切り勝ちを決めた!
その鋤柄は、現在当地で2機しか存在しない“オレンジプレート”(2連対率が50%以上)の「38号機」とのタッグで、実戦に行くと「出足」+「回り足」が常に強力だった。「展示タイム」こそ毎回平凡で、展示気配も見栄えはしなかったが、“レース足”は文句なしで節イチに仕上がっていた。
ピットでは(好調時・不調時を問わず)温厚に記者対応する鋤柄は、レーススタイルもクリーン。それ故に、これまではV戦で“勝負弱さ”が目立っていたが、1つ勝てたことでそれも払拭できそう。“勝利の味”を思い出した今後の走りには、ぜひ注目しておきたい。
また、惜しくも“準V”だった白石も、今節はワースト級の相棒(71号機)と格闘しつつも、最後まで素晴らしいレースを見せてくれた。なお、白石は9月末に当地で行われる「G1江戸川大賞」に再登場する。ボート界屈指の“波乗り巧者”だけに、悲願の“特別戦初制覇”を目指して、次回も気合フル充填で挑むはずだ! |